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自己破産はすべてを失う?

起業して会社を大きくしていくことは誰もが夢見ることだと思います。取引数が増え会社が大きくなれば、それを支える社員や仕入先、商品・サービスを提供されるお客様などすべてにとっても喜ばしいことです。しかし会社の経営がうまくいくことばかりではないことも事実。販売数や原価率、広告活動や社内の雰囲気、預金残高や毎月の利益・損失に気を配りながら会社の運営をしていかなければなりません。

会社の経営が苦しくなり、どうしても資金繰りが回らなくなることもあります。そのときには会社を畳む決断をすることになりますが、すでに債務超過となり支払先や銀行等に手持ちの資産では支払えない場合には、会社の破産手続きを申し立てることになります。

会社が破産の申し立てを行うことで、まずその株主は出資をしている範囲内で責任を負う有限責任となります。また会社の経営者及び取締役などについては破産による債務を負う義務はありませんが、しかし以下の場合にはその責任を負うことになります。

・借入の連帯保証人になっている場合
・担保権を供与している場合
・悪質な経営が破産を招いた場合
・経営者名義の財産の中に会社の財産が含まれている場合

会社を清算しても負債が残る場合、経営者もその支払・返済の責任を負うことになり、経営者自身が責任を負えないときは、会社・経営者個人とも同時に破産の手続きを行うことになります。

それでは経営者個人も自己破産(注)をしてしまうと、その個人の財産はすべて失われてしまうのでしょうか。自己破産で処分されない財産(自由財産)には、

1.現金99万円以下
2.差押禁止財産
3.拡張が認められる財産

の3つがあり、「1」は破産法で定められ、「2」は生活に必要な衣服や家具、職人や技術者の業務のための道具などになります[民事執行法131条]。また以下もその対象となっています。

・給与、賃金、賞与等の4分の3相当の金額
・退職金、退職手当等の4分の3相当の金額
・国民年金、共済年金等の受給権
・小規模企業共済の受給権
・失業保険(雇用保険)による給付金の債権
・生活保護費の受給権

「3」は自由財産の拡張と呼ばれ、「1」「2」にしか認められない自由財産の範囲が裁判所の許可により拡張してもらえるものです。

自己破産までしてしまうと保有財産は清算され、職や資格の制限や新たな借入ができなくなり不利なことも確かに多いですが、弁済不能債務者を救済するための国のシステムだと考え、気持ちを切り替えて新しい生活をスタートさせることも大切かも知れません。

(注)自己破産には同時廃止事件と管財事件の2つがありますが、同時廃止事件は特に差押え可能な財産が何もない場合をいい、管財事件は清算する財産がある場合をいいます

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