税務に関して

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はんこ廃止のほんとの理由

昨年の9月にデジタル庁が創設され、行政改革相が行政手続きにおけるはんこを使用しないよう要請したことは記憶に新しいと思います。いままで申請書や届出書などに押印する必要があったはんこですが、今後どのようになっていくのでしょうか。

まずはんこを不要にするというのは、いままであった認印を不要にしますということで、印鑑登録をした実印や銀行印を廃止するということではありません。それともうひとつはんこに代わる電子印鑑使用の動きがあります。つまり電子化を促進し「紙」による文書の使用を減らしていきたいという意向が大きいようです。

ところで日本年金機構から2020年12月25日より、年金手続きの申請・届出様式の押印について原則廃止すると公表されています。また同時期に雇用保険関係のおける届出書への押印も原則不要となっています。(押印が必要な届出はあります)

また税務については、国税に関する法令に基づき税務署長等に提出される申告書等(税務関係書類)について、令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降は相続関連や印鑑証明書の添付を求めている書類以外については押印を要しないこととされています。つまり銀行印や印鑑登録された印鑑を使う書類以外については押印しなくても差し支えないという考え方だと思われます。

各種書類の提出についても電子化が促進されています。所得税の確定申告を電子的に行うe−Tax(イータックス)は宣伝効果もあり社会にかなり浸透してきたように思います。同様に住民税にもeLTAX(エルタックス)があり、電子申請・届出を電子的に行えるようになっています。社会保険においても同じようにインターネットを利用して申請・届出を電子的に行うことが可能です(e−Gov)。これらが進むことにより、誰が作成したものをどこに送ったかということがデジタル的管理でき、そして紙ベースでの書類の提出が電子化されることで、省庁や自治体にとって再度入力する手間が無くなること。加えて対面による受付業務や紙の書類の管理の必要性も無くなっていくでしょう。

そうなるといままでのはんこに代わるものも必要になってきます。書類自体は文字の情報でしかありませんから、その書類を「誰が」「いつ」「どこで」「どのよう」作られたかがまったく証明できません。これらを客観的に記録・証明できるものが電子印鑑です。今後電子署名法がより整備され、電子文書に電子印鑑で押印というのがこれからの流れになっていきそうです。

マイナンバーカードの普及が思ったように進まなかった現在、情報をいろんな形で結び付けようと試行錯誤する政府の意向が見え隠れします。はんこの廃止というトピックは注目を集めましたが、その本当の意味は省力化と電子的な管理だと考えられます。ただ電子化を急ぎすぎて情報の漏洩やデータの消失という危機管理面も同様に高めていかないと、国民が安心して使える制度として普及するのには時間がかかると思います。

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